タイ警察は違法ギャンブルサイト「Auto888vip.com」を摘発し、運営者とみられる30歳の男性を逮捕した。サイバー犯罪捜査局(CCIB)がバンコクのクローン・ヌン地区の住宅を捜索。現金2800万バーツ(約6450万円)を押収した。
警察は高級車2台も差し押さえた。メルセデスとBMWで総額1500万バーツ(約3458万円)相当。高級時計やブランド品も発見された。さらに700万バーツ(約1610万円)相当の住宅と土地の権利も凍結した。
月3000人が利用、巨額資金が流通
捜査によると、容疑者のタウィーン・プラヨーンニコル氏がサイトを2年前に開設したとされる。毎月約3000人のアクティブユーザーが利用していた。過去6か月間で月平均2000万バーツ(約4605万円)の現金引き出しを処理していたという。
今回の摘発は、タイの違法ギャンブル市場への取り締まり強化の一環だ。2月には13人が逮捕される事件も発生。最近ではマインドスポーツクラブでの地下ポーカーで19人が逮捕されている。
1.1兆バーツの地下経済
タイの地下ギャンブル経済は年間1.1兆バーツ(約30兆9000億円)規模とされる。現在タイ法では競馬とタイ宝くじ以外のギャンブルは禁止されている。しかし闇市場の活発な資金流通は、国民の高い需要を示している。
カジノ合法化を目指すエンターテインメント複合施設法案も検討されていた。だがペートンタン・シナワット首相の職務停止により法案は撤回された。シナワット氏の父で元首相のタクシン・シナワット氏も、経済効果を理由にオンラインギャンブル合法化を提唱していた。
デジタル経済社会省は現在、規制枠組みの見直しを進めている。サイバーセキュリティと金融透明性基準に沿った規制案の検討が進む。国家委員会が主導し、認可制のより安全なオンラインギャンブル市場創設を模索している。
取り締まり強化が続く中、合法化議論も活発化している。現状では税収機会を逸し、規制のない環境でサービスが提供され続けている。Auto888vip.comの摘発により、また一つの違法サイトが閉鎖された。