大阪市の人工島・夢洲で24日、日本初の統合型リゾート(IR)施設の起工式が行われた。1999年の構想提案から約25年を経て、ついに本格的な建設工事が始まる。

運営事業者の米MGMリゾーツ・インターナショナルとオリックスの合弁会社が手がける総事業費1兆2700億円のプロジェクトは、2030年の開業を目指している。年間総収入は約59億ドル(約8400億円)を見込む。これが実現すれば、アジア最大のカジノとなる可能性が高い。

ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)の予測では、世界でも米国とマカオに次ぐ第3位の規模となる。昨年時点でアジア最大だったギャラクシーマカオの総収入約45億ドルを大きく上回る計算だ。

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15年の歳月を経て実現

起工式に参加した日本MGMリゾーツの代表執行役員社長CEO、エドワード・バウワーズ氏は感慨深く語った。「このプロジェクトに15年以上にわたって取り組んできた。これまでの道のりは決して平たんではなく、開業まで、そしてその後もさまざまな課題が立ちはだかるだろう」

開発プロジェクトの規模は壮大だ。カジノのほか、三つのホテル、会議・コンベンション施設、コンサートホール、飲食・ショッピング施設が含まれる。建設場所は現在開催中の「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」の会場に隣接している。政府は同地域へのアクセスインフラ整備に数千億円を投じた。

実質的独占状態での船出

MGMとオリックスによる大阪のカジノ構想は、30年の開業時には日本市場で実質的に独占状態になる見通しだ。日本政府は三つのカジノライセンスの発行を認めているが、現時点で承認されたのは一つだけ。長崎県が申請したIR整備計画は23年に不認定となった。

CLSAのアナリスト、ジェイ・デフィバウ氏は実現への道のりを振り返る。「彼らは障害を乗り越えた。実現には強力な政治的リーダーシップが不可欠だった。大阪当局がそれを実現した。実現に向け多大な政治的資本を投じるリスクを負う必要があった」

反対の声は今も

しかし、課題も残る。一部の地元住民は依然としてカジノ構想に反対している。ある団体は昨年、IR用地に関する土地改良事業費用の支払い差し止めなどを求めて大阪市長らを提訴した。

同訴訟の法廷担当の井上眞理子氏は社会的コストへの懸念を示す。「問題のあるギャンブラーについて、警察のコスト、司法のコスト、収監のコストなど社会的コストが非常に大きい」地元で生まれ育ち、「郷土に対する愛着があり、何が何でもIRを造らせないという決意でいる」

経済効果への期待

一方、式典に出席した地元議員や企業幹部らは地元経済への恩恵を強調した。大阪府知事の吉村洋文氏は「大阪経済がさらに成長する起爆剤になると確信している」と述べた。

市民の反対や規制の不明確さなどカジノを巡る当初の懸念はおそらく過去のものになっている。MGMとオリックスのプロジェクトには、大阪の地元企業からの投資に加え、三菱UFJフィナンシャルグループと三井住友銀行が主導する5300億円の融資契約が組み込まれている。

今後5年間の試練

アナリストによると、今後5年間は困難な状況に直面する可能性がある。建設業界の深刻な人材不足や、アジアの他市場との競争の激化、オンライン賭博の普及に伴う課題などが浮上するためだ。

米ハードロック・インターナショナルの元アジア担当幹部で、「Japan Casino Uprising: 茨の楼閣」の著者、ダニエル・チェン氏は慎重な見方を示す。ライセンスを取得しているため、計画の実現は「ほぼ間違いない」としながらも、「30年秋の開業という目標に間に合うかどうかは不透明だ。なぜなら日本でこのような施設を建設した前例がないからだ」

石原元都知事の構想から四半世紀

日本でのカジノ誘致を巡る議論は1999年にさかのぼる。当時、東京都知事だった石原慎太郎氏がカジノ誘致構想を提案した。日本は18年に安倍晋三元首相の下でカジノ合法化とIR建設に関する法整備を実現。遅延や不祥事が相次いだが、実現に向け大きな一歩を踏み出した。

アジア最大のカジノとなる可能性を秘めた大阪IR。その成功は日本のカジノ産業の未来を左右する重要な試金石となりそうだ。

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