フジテレビは31日、相次ぐ問題を受けた社内改革の進捗状況を発表した。CM取引社数が前年同期比約38%まで激減する中、元検察官による緊急研修の実施や新たなハラスメント対策の導入で信頼回復を図る。

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広告離れ深刻、取引社数は前年の4割以下に

同社の発表によると、4~7月累計のCM取引社数は259社となり、前年同期比約38%にとどまった。7月単月では192社で同約42%という状況だ。一連の不祥事が広告主の信頼失墜を招いた形となっている。

社員逮捕受け、カジノ研修を緊急実施

社員がオンラインカジノ利用で逮捕された事案を受け、フジテレビは事案発生翌日に全社員向けの緊急研修を実施した。元検察官による「オンラインカジノの実態と怖さ」をテーマとした研修で、受講率はほぼ100%を達成。この研修動画はフジ・メディア・ホールディングスのグループ各社にも提供されている。

ハラスメント対策を大幅強化

職場環境の改善に向け、各部署で自発的な取り組みが始まっている。スポーツ局では「NO RESPECT NO SPORTS」ポスターを掲出。「意識が変われば行動が変わる」など3パターンを制作した。

総務局とテックアート局では、全役員・社員・職員に対し互いに「さん」付けで呼ぶことを推奨している。上下関係や性別、役職にとらわれないフラットな人間関係の構築を目指す。差別的・排他的な呼称の廃止も打ち出した。

誹謗中傷対策も体制強化

7月10日付でコンプライアンス推進局SNS対策部の体制を強化。8月1日付では社内横断の誹謗中傷対策メンバーの人事発令を行う予定だ。

相談役・顧問制度を廃止

従来の相談役・顧問制度を廃止し、「顧問室」は共用会議室として全社員が使用可能にした。透明性向上を図る取り組みの一環とみられる。

カスタマーハラスメント対応方針を新設

31日の取締役会では「カスタマーハラスメント対応に関する基本方針」を決議した。同方針では以下のように明記している。

カスタマーハラスメントと認められる言動等が認められた場合には、当社の社員・スタッフの人権を最大限に尊重し、社員・スタッフを守るために、取引の終了も含めて毅然と対処いたします。また、当社が悪質であると判断した場合には、警察や弁護士等とも相談し、法的措置や刑事告訴も含めて厳正に対処いたします。なお、言うまでもなく、当社の社員・スタッフによる取引先様に対するカスタマーハラスメントに該当する行為についても、一切許容致しません

一連の改革により、フジテレビが失墜した社会的信頼をどこまで回復できるかが注目される。

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