甲府税務署の元職員が納税者から徴収した税金430万円を着服していた事件で、容疑者がオンラインカジノの借金返済に充てていたことが31日、捜査関係者への取材で明らかになった。
業務上横領の疑いで送検された元甲府税務署職員の石井克樹容疑者(25)=甲府市在住=は、2024年12月から2025年5月までの間に甲府市内の飲食店経営者から税金滞納分として徴収した現金約88万円を着服した疑いが持たれている。山梨県警が30日に逮捕し、31日に送検した。
東京国税局の調査によると、石井容疑者の着服は今回の逮捕容疑を含めてさらに広範囲に及んでいた。2024年5月から2025年5月までの1年間で、法人6社と個人6人の計12の納税者から31回にわたって着服を繰り返していたという。被害総額は約430万円に上る。

ギャンブル依存が動機か
石井容疑者は警察の調べに対し「借金の返済や生活費に使った」と供述し、容疑を認めている。さらに東京国税局の内部調査では「オンラインカジノで負け越して借金があった」と説明していたことが関係者への取材で分かった。
捜査関係者によると、着服した金の大部分がオンラインカジノの借金返済に充てられていたとみられる。石井容疑者は警察に対しても「ギャンブルや借金の返済などに使った」と供述している。
納税者の問い合わせで発覚
事件が発覚したのは今年6月。納税者からの問い合わせがきっかけだった。東京国税局が内部調査を開始し、石井容疑者による一連の着服行為が明らかになった。
国税当局は石井容疑者を30日付で懲戒免職処分とした。税務署職員による税金横領という前代未聞の事件は、税務行政への信頼を大きく揺るがしている。
石井容疑者は甲府税務署で税金徴収業務に従事していた。職務上の立場を悪用し、納税者から直接現金を受け取る際に着服を繰り返していたとみられる。