米下院歳入委員会のジェイソン・スミス委員長(共和党)が、トランプ大統領の国内政策改革法案に含まれる賭博税制の変更を「悪い判断」と呼び、年内の撤回を示唆した。この発言は、共和党内部でも法案への批判が高まっていることを示している。

賭博損失控除が90%に削減
トランプ大統領の「ワン・ビッグ・ビューティフル・ビル」と呼ばれる包括的法案には、プロの賭博師に大きな影響を与える税制変更が含まれている。従来は賭博の損失を100%所得控除できたが、新制度では90%までに制限される。これにより、実質的な損失がないにも関わらず「幻の利益」に対して10%の税金を支払うことになる。
スミス委員長は
「賭博損失に関する税制変更は悪い判断だった」
と明言した。彼は下院歳入委員会の委員長として、税制、関税、歳入手続きを管轄している。同委員会はトランプ法案が再編を目指したすべての分野に権限を持つ。
年内撤回の可能性を示唆
スミス議員は改正案の年内撤回について
「絶対に可能だ」
と述べた。この変更は多くの民主党議員が支持していたが、より広範囲な超党派協定の一部として撤回される可能性があるという。
アメリカン・ゲーミング協会(AGA)は歳入委員会に書簡を送り、賭博損失の100%控除復活を求めている。同協会は「マイ・フェア・ベット法」への支持も表明した。この法案は正にその目的を達成するものである。
法案通過の経緯
下院は木曜日、トランプ大統領の大規模な税制・歳出パッケージを218対214の僅差で可決した。数ヶ月にわたる共和党内の分裂と土壇場での交渉を経ての結果だった。法案は現在トランプ大統領の署名を待っており、7月4日に署名される見込みである。
この1200ページに及ぶ法案は、2017年のトランプ減税を恒久化する。チップと残業代への課税を撤廃し、一部の社会保障給付も非課税とする。費用を相殺するため、メディケイドから約1兆ドルを削減し、食料支援と清潔エネルギー促進策も縮小する。
共和党内での反対の声
7月には、改正案撤回の公式な動きが共和党によって阻止された。当初の法案に投票した多くの議員が、実際には賭博税制変更について知らなかったという指摘もある。しかし、民主党側からの何らかの譲歩なしには撤回されないとの見方が示された。
900ページに及ぶトランプの国内政策法案への反応は複雑だった。一部では反対意見が高まっている。スミス委員長のような重要な立場からの支持は、少なくともこの要素については大きな障害なしに撤回を受け入れる意欲の高まりを示唆している。
ネバダ州での宣伝活動
下院共和党は「ワン・ビッグ・ビューティフル・ビル」を有権者に売り込む活動を開始している。中間選挙まで15ヶ月の間に世論を変え、メッセージ戦争に勝利することを目指している。
歳入委員会はネバダ州で会合を開いている。ここは「チップ非課税」がトランプ大統領の中心的な選挙公約となった場所である。この地で法案に関する最初の現地公聴会を開くことで、共和党が宣伝すべき条項について明確なメッセージを送っている。
スミス委員長は「我々は戻ってきた。そしてチップ非課税の発祥地にいる」と述べた。
「ここは大統領がトランプホテルのウェイトレスからアイデアを得た場所です」
と付け加えた。
しかしスミス議員は、共和党が宣伝を奨励している減税案は高い支持を得ていると指摘した。
「アメリカ国民は実際に体験するまでは法案の内容を知ることはできません。現在の世論調査結果を私は信じていません」
とスミス議員は語った。アメリカ国民が税務申告時に実際の税制優遇を体験すれば、11月は下院共和党にとってより良い日になるだろうと予測している。