衆院内閣委員会は30日、オンラインカジノサイトへの誘導広告を禁止するギャンブル依存症対策基本法改正案を委員長提案で本会議に提出すると決定した。れいわ新選組を除く全政党が賛成している。今国会での成立が確実な情勢だ。

オンラインカジノ広告禁止法案が成立へ

改正案の核心は、オンラインカジノサイトの開設・運営の明確な禁止にある。SNSでの情報発信も対象となる。政府と地方自治体には、オンラインカジノの違法性を国民に周知する義務を課した。

警察庁の最新調査が示す実態は深刻だ。利用経験者は約337万人に達する。年間賭け金総額は約1.2兆円という巨額に上っている。経験者の4割が違法性を認識していなかった事実も判明した。

自民党の国場幸之助理事は改正案について説明した。「罰則は設けていないが、違法であると定めることで、削除など事業者による適切な対応が促進される」と述べている。

与野党協議は15日に国会内で開催された。自民、公明、立憲民主、日本維新の会、国民民主、共産、れいわ新選組、有志の会の8党・会派が参加した。月内の法案提出で合意に至っている。

現行法では「抜け穴」とされてきた行為が違法化される。警察からの要請を受けた情報通信事業者による削除が容易になる仕組みだ。ただし罰則規定はない。実効性の確保が今後の課題となる。

利用者の年齢構成も注目される。経験者の31%が20歳代、27%が30歳代を占めている。若年層への浸透が際立つ結果だ。

総務省も4月に有識者会議を発足させた。カジノサイトへの接続を強制遮断する「ブロッキング」実施を検討している。規制強化の動きは複数の省庁で同時進行中だ。

海外で合法なオンラインカジノも、国内からの利用は刑法の賭博罪に該当する。違法と知らずに利用する人が多いことから、対策は急務とされてきた。

改正法成立により、337万人の利用者を抱える巨大市場に本格的な規制の網がかかることになる。

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