神奈川県警察本部は5日までに、海外オンラインカジノの決済システムを運営していた組織の幹部ら9人を逮捕した。容疑者らが管理していた口座には1年間で約900億円が入金されていたことが判明している。これは国内のオンラインカジノ関連事件としては過去最大規模とみられる。
逮捕されたのは東京都中央区晴海の会社役員、倉田善徳容疑者(42)と東京都文京区小石川の会社員、吉原秀明容疑者(44)ら男9人。容疑は組織犯罪処罰法違反(組織的常習賭博)。

「VIRTUAL PAY」システムで決済代行
警察の調べによると、容疑者らは昨年4月から5月にかけて「VIRTUAL PAY」と呼ばれる決済システムを運営していた。このシステムを通じて約3600人の客がオンラインカジノに賭け金を入金し、スロットゲームなどで計約26億3千万円を賭けていた。
倉田容疑者らは海外に拠点を置く6つのオンラインカジノサイトの決済業務に関与していたとみられる。現金をカジノで利用できるポイントに交換するシステムを提供し、客の賭博行為を助長していた疑いが持たれている。
マネーロンダリングでも立件
この事件では、吉原容疑者ら3人が今年2月に別件で逮捕されていた。賭け金など約42億円を管理口座に移し替えて隠匿したとして、組織犯罪処罰法違反(犯罪収益隠匿)容疑で起訴済みだ。
その後の捜査で倉田容疑者らとの関連が判明し、今回の一斉摘発に至った。県警は容疑者らの認否については明らかにしていない。
手数料収入で巨額利益か
組織の口座には2023年からの1年間で客から約900億円の入金が確認された。県警は賭け金などの一部を手数料として得ていたとみて、詳しい運営実態の解明を進めている。
オンラインカジノは海外で運営されていても、日本国内からアクセスして賭博行為を行うことは違法とされている。今回の事件は決済システムの運営側を摘発した点で注目される。