日本政府が海外のオンラインカジノサイトに対する包囲網を敷き始めた。警察庁は5月以降、外務省を通じて関係8カ国の政府に日本向けサービスの停止を要請している。対象となるのは、日本語でサービスを提供するオンラインカジノ運営者が賭博事業の許可を得ている国や地域だ。

337万人が利用、キュラソー発行ライセンスが7割占める
要請対象となったのは、オランダ領キュラソー、マルタ、アフリカ・コモロのアンジュアン島、コスタリカ、ジョージア、カナダ、英領ジブラルタル、英領マン島の8つの国と地域。警察庁の調査によると、日本語で利用できる40の海外サイトのうち、キュラソーでの許可取得が最も多く、7割を占めた。
政府の委託を受けた民間リサーチ会社の調査では、国内の利用経験者は約337万人に上る。年間の賭け金総額は約1兆2423億円と推計される。海外では合法なオンラインカジノでも、日本から利用すると違法になる。
地理的ブロッキングやサイト閉鎖を想定
日本側の要請では、具体的な接続停止手段は特定していない。政府関係者によると、サイトの閉鎖や特定の国からの接続を拒否する「ジオブロッキング」などが考えられるという。このほか、日本語画面の停止や、日本からの利用が違法であることのサイト明示も要請している。
海外で合法なサイトを日本で直接取り締まるのは困難だ。そのため、許認可権限を持つ関係国政府の協力を得て、運営者への働きかけを図る戦略を取った。
多額収益失う運営者、要請応諾は不透明
ただし、日本からの接続を拒否すれば、運営者は日本人客から得ていた多額の収益を失うことになる。要請に応じるかどうかは不透明だ。利用者の摘発が急増しているほか、依存症問題も深刻化している。
政府は近く成立見通しのギャンブル依存症対策基本法改正案の成立後、改めてこれらの国に対策実施を要請する方針だ。スマートフォンで手軽に接続できるオンラインカジノの利用は、違法性の周知不足もあり、若者を中心に広がりを見せている。