2025年6月のマカオのカジノ売上(粗収益、GGR)は前年同月比19.0%増の210.64億パタカ(約3744億円)を記録したとマカオ政府博彩監察協調局(DICJ)が発表した。前月からは0.6%減となったが、5月に続いて2か月連続で200億パタカの大台を維持した。
6月は一般的にマカオの観光業界でローシーズンにあたるが、香港の歌手ジャッキー・チュンのコンサートがギャラクシーアリーナで開催されたことで「カジノの客足が大幅に改善した」とアナリストは指摘している。

上半期累計は政府目標を上回る
2025年1月から6月までの累計カジノ売上は前年同期比4.4%増の1187.71億パタカ(約2兆1099億円)となった。月平均では約197.9億パタカとなり、政府の2025年度当初目標である月平均200億パタカをわずかに下回る水準だった。
政府は6月3日、今年の年間カジノ売上目標を5%下方修正し、2280億パタカ(約4兆0509億円)とする方針を示した。しかし1月から6月までの累計売上は新たな目標値を4.2%上回っている状況だ。
コロナ前水準への回復は途上
6月のGGRはコロナ前の2019年同月からの回復率が88.5%となった。上半期累計の2019年同期からの回復率は79.4%にとどまっている。
マカオは2023年1月初頭にウィズコロナへ転換し、アフターコロナがスタートして以降、カジノ売上の回復が続いている。昨年通期のGGRは前年比23.9%増の2267.82億パタカ(約4兆0293億円)を記録していた。
下半期の動向に注目
シティグループは今年下半期に前年同期比6%の成長を見込んでいると楽観的な見通しを示している。7月から8月にかけては夏休みのハイシーズンを迎え、カジノ売上の推移が注目される。
4月にマカオ行政長官のサム・ホウファイ氏は、月間GGRが150億パタカを下回れば財政赤字に直面すると警告していたが、現在の水準はこの危険ラインを大きく上回っている。